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    11/18/2009

    「伝統」を守るヤダブ大統領

    谷川昌幸(C)
    ヤダブ大統領が,大統領府職員に伝統的制服の着用を義務づけた(ekantipur, Nov16)。大統領府・副大統領府の職員には,年14000ルピーが制服代として支給されているので,制服着用は当然だ,という説明である。
     
    ダルワ・スルワールと黒のバドガオン帽という服装が政治的にどのような意味を持つのか? 大統領は儀式的機関だから,伝統的装束を義務づける,というのが表向きの理由だが,その伝統はどの民族/カーストの伝統か? 
     
    人民主権共和国になったのだから,「人民」を普遍的に象徴する「人民服」の方が,よいのではないか?
    11/17/2009

    マオイスト,土地没収再開

    谷川昌幸(C)
    マオイストが地方で土地没収を再開した,と報道されている(ekantipur, Nov14)。マオイスト理論からすれば,地主の土地没収は当然だが,なぜこのタイミングなのだろうか? 20日の文民支配回復回答期限への景気づけか? それとも,ブルジョア化した党幹部への反逆か?
     
    そもそも土地没収・分配(農地解放)は,米帝国主義でさえ日本に対して強行した政策であり,極めて近代的,民主的改革である。米帝ですらやったことだから,マオイストがやって悪いことはない。政府にできないのなら,マオイストが代行して農地没収・分配をやればよい。ネパールの地方の近代化は一気に進むであろう。
     
    もう一つ,農地解放以上に重要なのが,都市部の不動産。これはネパール・バブルの諸悪の根源であり,こんなものこそ全部没収し,コミューン所有としてしまうべきだ。宅地,豪華住宅,賃貸マンション,豪華商業施設,こんなものは没収するか,懲罰的課税で国庫物納させる。不動産投機に走る銀行の接収も必要だろう。全部マオイスト理論に即した政策だ。
     
    地方の土地解放,都市部の不動産解放をマオイストが実行すれば,ネパールが一気に近代化することは間違いない。
    11/15/2009

    第3波デモ宣言の建前と本音

    谷川昌幸(C)
    1.ネパール社会の強さ
    朝日(11/15)がマオイスト反政府デモを国際面で大きく取り上げている。武石英史郎記者がパンディ蔵相らにインタビューして書いた記事。さすが,要領よくまとめられている。
     
    いつものことながら,ネパールは「平和」以上に「争乱」が絵になる。バンダ(ゼネスト)をやっても,議会や政府が長期間機能マヒになっても,ちゃんと(苦しくてもそれなりに)人々は生活している。日本では考えられないことだ。
     
    これは,ネパールが先進国がすでに失ってしまったものをまだもっているからだ。ネパールは,経済も社会も,つまり生活がまだ前近代的であり,伝統的社会固有の強靱さを失っていない。そこが,日本人にとっては驚きであり,絵になり,ニュースになるわけだ。
     
    この社会の強靱さに要領よく甘えているのが,諸政党。国政を放り出し,幹部エリートの権力闘争に終始しているように見える。建前は立派でも,本音は卑俗な身内の利権なのだ。マオイストもその傾向を強めている。
     
    2.大統領に完敗した首相
    たとえば,11月13日マオイストのプラチャンダ議長(前首相)が,20日までにマオイストの要求を受け入れなければ強力な第3波デモを開始する,と宣言した。ここにも,政党の社会への甘えが見て取れる。
     
    そもそもことの始まりは,この5月,プラチャンダ首相がヤダブ大統領に完敗したこと。マオイストは,マオイスト人民解放軍の国軍統合問題でカトワル統幕長批判を強め,他党の反対を押し切り,単独で統幕長解任を閣議決定した。ところが,ヤダブ大統領が認証(署名)を拒否したため,カトワル統幕長は9月27日までの任期を全うし,めでたく退職してしまった。権力闘争に敗れたのは首相の方で,プラチャンダ氏は5月4日首相を辞任した。
     
    この件に関しては,5月のブログで何回か指摘したように,憲法上,その気になれば,大統領の方が首相よりも強力だ。「民選国王」といってもよい。大統領は「国家元首」であり,国軍「最高司令官」であり,「非常事態」宣言権限さえももっている。民主的手続きの縛りはあるが,そんなものは国王でさえもっていた。イザとなれば,非常事態を宣言し,強権をふるえないことはない。大統領は国軍を救った恩人なのだ。
     
    3.どたばた解任決定取消の取消
    プラチャンダ議長は,この大統領決定を文民支配の否定,違憲と主張し,5月にさかのぼって取消させようとしている。大統領の解任決定認証拒否を取り消し,文民支配を確立し,つまりはプラチャンダ議長あるいはバブラム副議長か誰かを首相にしようというのだ。
     
    これに対し,ヤダブ大統領は13日,「私はこれまで憲法規定を遵守してきた。そして今後も憲法遵守を貫く」と真っ向から反論した(KOL,Nov13)。軍に屈服したのではなく,憲法の精神に従ったのだという。
     
    プラチャンダ議長とヤダブ大統領のいずれが正しいか? これは理論的にも政治的にも判断が難しい。いずれにも憲法上の根拠がある。また,プラチャンダ議長には人民解放軍2万とYCLなどの強力な実力組織があり,ヤダブ大統領には,はっきりはしないがたぶん9万余の国軍がついている。どうなるか,予想は難しい。
     
    4.卑俗かつ高尚なネパール政治
    ネパール政治の面白さは,今回の文民支配確立問題もそうだが,政治闘争が,一方では権力エリートの卑俗な利権闘争として闘われつつ,他方では,その道具立てがいとも高尚,立派であり世界最新のピッカピッカだという点にある。
     
    だから,ネパールの政治闘争を不合理でデタラメな派閥利権争いとしてバカにしていると,あっと驚くような斬新な結果が出て不明を恥じる羽目になる。一方,道具立ての立派さに惑わされ,手放しで褒め称えていると,煮ても焼いても食えない旧態依然たる派閥利権闘争に終始し,これまた不明を恥じ入ることになる。
     
    ネパール政治は,観察者にとって,はなはだ扱いにくく,やっかいに対象だ。見立てが誤ったのをいちいち恥じていては,身が持たない。そんなヤワな精神の持ち主は,ネパール政治の観察にはそもそも向いていないということであろう。
    11/12/2009

    ネパール憲法勉強会

     谷川昌幸(C)
    日本政治総合研究所(白鳥令理事長)が,ネパール憲法勉強会を開催する。お問い合わせは,下記まで。
     
    ----------------------
     

       ネパール憲法に関する勉強会

     
    報告者: Dinesh Tripathi氏(LL.M.USA.Advocate,Supreme Court Nepal)
     
    報   告:「ネパール憲法について」(使用言語:英語)
     
    日   時: 平成21年11月24日(火曜日) 午後6:00~8:00
    会   場: 国際文化会館 本館4F 402号室
         東京都港区六本木5-11-16  電話:03-3470-4611    
     
    主   催: 日本政治総合研究所(IPSJ) 電話:03-3460-2392
    11/11/2009

    動物供犠祭への政治介入:動物権利擁護派の偽善性

    谷川昌幸(C)
    ヒンドゥースタン・タイムズ(Nov9)によると,バラ郡バリヤプールで5年に一度開催されるガディマイ・メラ(11月24~25日)は,約50万頭の動物を犠牲にささげる世界最大の動物供犠祭であり,500万人ものヒンドゥー教徒がお参りに来るという。
     
    お祭りでは,水牛,山羊,アヒル,鶏,鳩などがガティマイ女神の前で犠牲に捧げられる。最近は,供犠禁止となったインド諸州からの参拝者が増え,供犠動物の数も増加しているという。
     
    水牛や山羊の比率はわからないが,50万頭も供犠されるとすれば,ガディマイ女神の前は血の海となるにちがいない。それは,生命への畏敬と感謝の念に満ちた粛然たる情景であろう。
     
    動物供犠は,他の動植物の生命の犠牲により日々生かされていることを思い起こし,他の動植物に感謝するための神聖な宗教儀式である。それは,死によって生かされている人間存在の原罪を告白し,赦しを乞い願う道徳的にも崇高な人間の行為である。
     
    ところが,ヒンドゥスタン・タイムズ紙によると,このガディマイ祭に対し,動物権利擁護派が反対運動を繰り広げている。たとえば,インドの政治家マネカ・ガンディ氏らは,ネパール首相に抗議文を送り,ネパール政府がガティマイ祭に介入し動物供犠を止めさせるべきだ,と要求した。
     
    こうした,主に西洋・インドからの圧力に対し,ネパール政府は宗教儀式への政治介入をきっぱり拒否した。ビム・ラワル内相は,参拝者の安全を守るため,警備要員の増員を約束したにすぎない。
     
    このネパール政府の判断は,全面的に正しい。動物権利擁護派は,政府に圧力をかけ,国家の力で神聖な宗教儀式を止めさせようとしている。いくら西洋が非難しようと,そんな理不尽な要求に耳を傾ける必要はみじんもない。あえて叱られるのを覚悟でいうならば――
     
    恐れおののきながら粛然と神の前で動物供犠をする人々と,愛玩犬に服を着せリードをつけて散歩している人本主義的・世俗的現代人を比較してみよ。どちらが生命に対しより真摯であろうか? どちらが,動物を本当に大切にしているであろうか? 動物供犠を非難する動物権利擁護派は,生命への畏れも,人間存在の原罪性にも無自覚な脳天気な偽善者である。
     
    参照  2009/03/22 血みどろのゴルカ王宮
    11/10/2009

    マオイストの象徴的自治州宣言

    谷川昌幸(C)
    マオイストが,あちこちで自治州(解放区)宣言をしている。Nepalnews.com(Nov9)によれば,ゴパル・キランティ政治局員が,「キラント州」を宣言した。州人民大会で,キランティ同志は,各カーストの愛国者人民が一致団結して封建勢力,インド膨張主義,アメリカ帝国主義を粉砕することを訴えた。
     
    勇ましく,この地方のマオイスト協同組合の役員である私にとっては心強い限りだが,どうも,いまいち納得が出来ない。
     
    キテンティ同志によれば,この自治州宣言は「象徴的」であり,州首都も州役職者も未定だそうだ。
     
    さらに,州自治を高らかに唱えながら,キランティ同志は,象徴的州宣言の許可をプラチャンダ党首同志から得たのだそうだ。州自治の前に,マオイスト支部の自治の方が先ではないかな?
     
    民族は危険きわまりない観念だ。こんなものを弄んでいると,とんでもないことになる。ウソだと思うなら,ナチス前夜のドイツや旧ユーゴでも見てみるとよいだろう。
     
    11/9/2009

    ゴルカのマオイスト農場

    谷川昌幸(C)
    UWB(10/18)が,Neil Horning氏のマオイスト農場訪問記を掲載している。
     
    農場はゴルカのバブラム博士の村にあり,マオイストがモデル農場として運営している。働いているのはマオイスト20~30人と,ほぼ同数の村人(給与100~400ルピー/日)。
     
    男女比は50:50。料理は男女でつくり,決定は定期集会で行う。inclusiveで民主的だ。集会場には,マルクス,エンゲルス,スターリン,毛沢東の肖像が掲げてある。まだまだスターリンは健在だ。
     
    写真を見ると,なかなか立派な農場だ。ゴルカは近いので,次の機会に見学に行きたい。また,私自身,あるマオイスト協同組合の役員になっているので,わが協同組合もこんな立派なものになっているか,こちらも見学に行こうと思っている。
     
    11/8/2009

    北朝鮮レストラン「王流館」

    谷川昌幸(C)
    朝鮮日報(11/9)が,カトマンズの北朝鮮レストラン「王流館」について報道している。記事によると,カトマンズには大韓航空が乗り入れており,空港にはレストランの女性たちが客引きに来ている。また,市内繁華街でも宣伝ビラ配りをしているという。
     
    店内では,韓国,北朝鮮,日本,中国の歌が演奏され,ミニスカート女性がサービスしてくれる。
     
    ネパールでは,落日の日本にかわり,韓国や中国の存在感が日増しに大きくなっている。北朝鮮がレストランを営業しても,何ら不思議ではない。そして,ネパール情報についても,今後は,もっと韓国に目を向けるべきだろう。
     
    11/7/2009

    GP批判からBP批判へ?

    谷川昌幸(C)
    コングレス党は4日の党大会で,党民主化決議を可決した。加算方式で役員が乱造されているため,役員構成が複雑で,正直,よくわからないところも多いが,だいたい次のようなことらしい。(間違っていたら,ゴメンナサイ。)
     
    決議によると,党首,書記長(2名?),会計,中央委員61名は,党総会で選挙される。 この中央委員61名のうち14名は各県(ゾーン)選出,女性6名,ダリット5名,先住民5名,マデシ5名,ムスリム1名を含む。一方,党首は,中央委員会の承認のもとに,副議長,副書記長を任命する。 また党首は,中央委員21名を指名する(選挙選出中央委員61名と合わせ計82名)。ただし,党首指名21中央委員の中には女性,ダリット,先住民,マデシ,ムスリムを含む。 ・・・・・・
     
    もう,訳がわからない。はっきりしているのは,役員選出方法がやたら複雑になったということ。
     
    さて,これで,ギリジャ党首のご威光が落ちるかどうか? クリシュナ・プラサド・バッタライ指導者も,イザとなるとお出ましだし,有力な党首代行も副党首もいらっしゃる。役員だらけ。
     
    やはり,GP批判をするのなら,BP批判をやらないと,腰砕けになるのではないか? でも,そんな恐ろしいことは,NCにはむろんのこと,マオイストにも出来はしないのではないか?
    11/6/2009

    ネ大使館協力「仏陀再誕」

    谷川昌幸(C)
    映画「仏陀再誕」は,ネパール大使館が協力している。ポカラで「仏陀再誕生(原文のママ)」が上映され,子どもたち多数に感動を与えたそうだ。長崎では,ユナイテッドで上映している。週末にでも,観に行こう。
     
     
     
    「映画「仏陀再誕」を通じて、ネパール大使館の協力の下、ネパールのポカラ地区とゴルカ地区の700名以上が通う中高の学校建設と奨学金支給を支援します。釈尊生誕の国、ネパールの子供たちが教育を受けられる環境を整えます。」(幸福の科学出版 映画「仏陀再誕」 ネパール教育支援プロジェクトより)
    11/4/2009

    लोकतन्त्र と州インフレ

    谷川昌幸(C)
    ネパールは万事加算方式。要求がでると,次々と足していき,ツケは結局国際社会に回す。これこそ万人満足のलोकतन्त्र, जनतन्त्र, गणतन्त्र の極意である。
     
    これは,いま大騒ぎしている連邦制(संघीय प्रणाली )についても同じこと。マオイスト案は,当初9州だったのに,制憲議会選挙マニフェストでは11州となり,先日,デブ・グルン議員が「国家再構築委員会」に提出したマオイスト案では15州となっている。
     
    他の政党も,「民族」要求を次々と受け入れ,州インフレに加担している。これは,制憲議会が601議席に膨張し,由緒ある国会議場に入りきらず,やむなく宴会場を借り,ろくに議論もせず,給与・経費だけ無際限に急増させているのと同じことだ。
     
    जनजाती の先駆者,ハルカ・グルン氏は,学識も人格も傑出した方であったが,グルン案は何と25州。生前お目にかかったとき,「民族」政治は危険ではないかと申し上げたが,現状はそのとき危惧した方向に向かっているようだ。
     
    連邦制にし,州の下に準州,準々州・・・・と自治レベルを多層化していく。政府公認だけでも102民族もあるから,そうならざるをえない。
     
    行政は極度に複雑化し,役人天国となる。軍隊もこのままでは加算により15万人くらいになりそうだ。国会議員+州議会議員+準州議会議員+役人+軍人。統治コストの激増は必死だが,これも国際社会が払うのだろう。
     
    लोकतन्त्र, जनतन्त्र, गणतन्त्र はまことに結構なお題目である。
     
    マオイスト11州案
    これはマオイストのCA選挙マニフェスト。田中角栄氏も真っ青の「ネパール連邦改造計画」である。
     
    11/3/2009

    インフレのネパール,デフレの日本

    谷川昌幸(C)
    カトマンズのインフレは凄まじい。ホテルもレストランもみな高くなった。旅行者には生活必需品のことはよくわからないが,新聞記事では,こちらも大幅な値上がりらしい。日本円やドルに換算しても高いのだから,ルピーで生活せざるをえない庶民には,日々苦しくなるばかりだろう。
     
    これとは逆に,日本はデフレだ(対前年9月物価-2.3%)。この数年,私の給料は下がる一方だし,商品やサービスをみても値下げが多い。ホテルにしても1泊3千円ほどで快適な部屋がいくらでもある。衣類の価格破壊も凄まじい。物もサービスも巷に溢れ,いくら値下げしても売れない。
     
    (朝日11/3)
     
    長崎市街では,目抜き通りでも貸しビル,売り家激増中。新卒大学生も余り,実質就職率はたぶん50%程度ではないか(高校生9月末就職内定率37.6%)。人間商品(人材)ですら,売れない。
     
    地方に行くと,田畑が余り,地代はタダ以下。地主が耕作料を払わないと,借りてもらえない。マイナス地代だ。こんな時代がかつてあっただろうか? マイナス地代がイヤなら,耕作放棄し,原野に戻す。おかげで,日本の農村は野生動物天国,故郷のわが実家の庭にも鹿,猿,猪などが出没する。デフレになり,自然が戻った。
     
    インフレとデフレ。どちらがよりましか? インフレは躁,デフレは鬱。見た目には躁の方が楽しそうだが,これも本人にはつらいそうだ。ほんに生きるのは難事だ。
    11/2/2009

    人民蜂起か軍決起か

    谷川昌幸(C)
    ちょっと大げさなタイトルだが,マオイスト系新聞を見ると,現状はこんな感じになる。
     
    1.マオイストの街頭行動計画
    マオイストは,政府が文民支配回復要求にこたえなければ,下記のような抗議行動をとると発表した。
     
    11/1  抗議運動開始宣言。全国たいまつデモ
    11/2  全国町村役場の包囲デモ(Gherao)
    11/3  お休み
    11/4-5 郡役所の全日包囲デモ
    11/6-8 お休み
    11/9  自治共和国宣言(解放区宣言?)
    11/10 カトマンズ盆地閉鎖,空港完全閉鎖
    11/11 お休み
    11/12-13 数百万人規模で政府庁舎包囲デモ
     
    これはスゴイ蜂起計画だ。人道的にお休みもあるが,本当に実施されたら大混乱となり,各地にマオイスト自治共和国=解放区が出来るかもしれない。
     
    2.軍総監の訪米
    この状況をにらみながら,チャットラマン・グルン軍総監がハワイ開催の軍会議に出席する。グルン軍総監は,バイラバナート基地でのマオイスト捕虜大量失踪事件への関与が疑われている。
     
    グルン軍総監は,米軍事大学校で教育を受けており,おそらく米軍とはツーカーであろう。マオイストが計画通り人民蜂起,自治共和国(解放区)設立に向かえば,グルン軍総監の出番となるかもしれない。
     
    秋祭りが終わり,いよいよ政治の季節が始まった。
     
    (Revolution in SA)
    マオイスト系新聞挿絵。この構図は,ネパール首相の統一共産党の十八番だった。懐かしい。
    10/27/2009

    派兵訓辞:菅副首相

    谷川昌幸(C)
    先日の岡田外相のPKO5原則見直し発言に続き,25日には菅副首相が海上自衛隊観艦式に出席し,「我が国の主体的判断と民主的統制の下,自衛隊が国際社会の平和と安定に貢献していくことを望む」と訓示した(朝日10/26)。
     
    海外派兵は,民主党「青年将校」の基本政策といってもよい。
     
    オバマ大統領は,理想主義的現実主義だが,民主党「青年将校」は現実主義偽装観念論である。
    10/26/2009

    天皇発言への政治介入:岡田外相

    谷川昌幸(C)
    岡田外相が,天皇の「お言葉」に政治介入した(朝日10/24)。国会開会式での天皇の「お言葉」を「陛下の思いが少しは入ったお言葉」にせよ,と要求したのだ。
     
    天皇の国会召集は憲法の定める国事行為(第7条2)だが,国会開会式での「お言葉」の規定はなく,違憲の疑いがある。こんな事はやめたほうがよい。かりに「公的行為」として許容されるとしても,「お言葉」の内容は空疎にして形式的,政治的にまったく無意味なものでなければならない。
     
    それなのに,岡田外相は,国権の最高機関たる国会において天皇が自分の意思を表明するよう要求した。憲法遵守を信条とし身上とする天皇に,憲法違反をすることを外務大臣として要求したのだ。
     
    なんたる不忠者か。こんな危険な外相は直ちに罷免すべきだ。
    10/25/2009

    気になる映画「仏陀再誕」

    谷川昌幸(C)
    巷ではいま映画「仏陀再誕」が話題になり,多くの人が観に行っているらしい。私はまだ観ていない。これが映画の公式HP――
     
     
     鬱々状態だと,このキャッチコピーはこたえる。お釈迦様にすがりつき救いを求めたくなる。
     
    右下には, 「映画の収益の一部は,ネパール大使館の協力のもと,釈尊生誕の国,ネパールの子どもたちの教育支援に役立てられます」と表示されている。
     
    左下には,「東映株式会社」「映画『仏陀再誕』ネパール教育支援プロジェクト」と表示される。
     
    ここをクリックすると,プロジェクトHPに移り,この画面となる――
     
     
    ここのブログには,プロジェクト・メンバーがヨンザン・タマン駐日大使と会見し,次のメッセージをいただいたことが紹介されている――
     
    「~ネパール大使メッセージ~ 物質的な面のみならず、思想の面、考え方の面でも、もっと我が国を支援していただけることを希望しています。そして、人々を変えて行っていただきたいと思います。これはみなさんの使命でもありますし、我が国にとってとても役立つことなのです。」
     
    そして,支援予定の学校の生徒や校長先生,村の人々の写真が紹介とともに掲載されている。プロジェクトのスローガンは――
     
    「 映画『仏陀再誕』で,ネパールの子どもたちに学校を!」
     
    である。
     
    これまで繰り返し述べてきたように,いまネパールは,仏教を前面に押し出し,国家再建を進めている。政治家も知識人も,こぞって仏教の平和主義や平等主義を礼賛している。
     
    この映画「仏陀再誕」は,ネパールにおけるこの仏教再興の機運を見事に捉えた誠に素晴らしい企画である。とくにそれが「貧しい子どもたち」(プロジェクトHPより)のための教育支援を目的として高らかに掲げていることは,絶賛に値する。日本国民,こぞって鑑賞すべきだろう。
    10/24/2009

    国連左右にスジャータさん

    谷川昌幸(C)
    毎日ウツウツ,何もする気がしない。絶不調。こんな時は,ネアカの国のネアカ代表スジャータ副首相のご尊顔を拝すに限る。
    (nepalnews.com)
     
    左右にランドグレンUNMIN代表とピパー(パイパー?)国連現地調整官をしたがえ,スジャータ副首相はご満悦の様子。見ているだけで,スカッとする。
     
    ネパールの政治は誰が動かしているのか,よくわからない。ネパール首相が何かしているようには見えないし,ヤダブ大統領には権限がない。
     
    どうせ,その筋に操られているのなら,ネアカのスジャータさんを首相か大統領にしてあげてもよいのではないか。ミスネパールでは,ちょっと軽すぎるような気がする。
    10/21/2009

    アフガン派兵,断固反対

    谷川昌幸(C)
    自衛隊の扱いについては,以前にも書いたように,民主党の方が自民党よりもはるかに危険である。民主党は,朝日新聞などと共闘し,海外での「軍民協力」を積極的に推進するつもりなのだ。
     
    事実,北沢防衛大臣は,昨日,自衛隊のアフガン派遣を示唆し,さらに今日,ゲーツ国防長官との会談でも,その可能性に言及した。
     
    これは,オバマ政権の思うつぼだ。オバマ大統領は,核廃絶の理念を掲げつつ,通常兵器による覇権強化を図っている。しかもアメリカの犠牲は最小限にとどめる。それには,戦争のロボット化と諸外国の派兵増強が不可欠だ。したがって,オバマ政権としては,日本政府にも本格的な海外派兵を認めさせなければならないのである。
     
    ゲーツ国防長官は,会見から想像するにかなり高圧的な人物で,今回の交渉でも日本側を相当脅したのではないかと思われる。アメリカ側からすれば,沖縄で多少譲歩し,インド洋上給油中止を受け入れたとしても,自衛隊をアフガンに派兵させることが出来れば,戦略的には大成功なのだ。民主党は,朝日新聞にそそのかされ「軍民協力」に傾いているので,こわもてゲーツ国防長官にちょっと凄まれたら,おそらく抵抗は出来ないだろう。
     
    その点,自民党はさすが保守本流,自衛隊海外派兵については,慎重であった。インド洋上給油は,自衛隊アフガン派兵拒否のための免罪符だという自民党の言い分には,それなりの合理性がある。保守本来のずるがしこさ,大人の現実主義といってよい。
     
    民主党には,そのような政治的深慮はない。「軍民協力」で名誉の戦死がでることへの怖れなどまったく感じられない。このままでは,社民党がいくら抵抗しても,ごまめの歯ぎしり,自衛隊はアフガンに進軍することになるだろう。
     
    ▼追加(2009.10.22)
    岡田外相が,PKO5原則の見直しを外務省に指示した(朝日10/22)。5原則を緩和し,自衛隊派兵を促進するつもりだ。民主党は軍事的平和貢献をマニフェストでも謳っており,これは党是。自民党より恐ろしい。こんな党に参院選で勝利させてはならない。
     
    民主党マニフェスト
    54 世界の平和と繁栄を実現する
    ○わが国の主体的判断と民主的統制の下、国連の平和維持活動(PKO)等に参加して平和の構築に向けた役割を果たす。
    ○海上輸送の安全確保と国際貢献のため、適正な手続きで海賊対処のための活動を実施する。
     
    PKO5原則(毎日10/21)
    (1)停戦合意が成立
    (2)紛争当事者が日本の参加に同意
    (3)中立的立場を厳守
    (4)基本方針が満たされない場合は撤収できる
    (5)武器使用は命の防護のための必要最小限に限る
     
    参考
    10/20/2009

    マオイスト・ポスター5種

    谷川昌幸(C)
    すごいポスターを見つけた。目から光線が放射されている。原寸の迫力は革命的。宣伝用ポスターだから,著作権は主張されないだろう。いや,そもそもマオイスト・イデオロギーからして,そんなけちなブルジョア的権利要求はないはずだ。というわけで,ここでご紹介する次第。
     
     
     
    10/16/2009

    ヒンドゥー教からの改宗:インド

    谷川昌幸(C)
    今日の朝日新聞記事「さらばヒンドゥー教・インド最下層で相次ぐ改宗」は,ネパールにとっても示唆的だ。筆者は武石英史郎記者。
     
    記事によると,インドでは,下層カーストの仏教やキリスト教への改宗が増えている。
     
    仏教への集団改宗を指導しているのは,佐々井秀嶺師。師自身が立ち会った改宗者がすでに300~400万人,全国だと1億人以上だという。途方もない数字だが,ネパールにおける仏教興隆の勢いをみても,十分考えられることだ。
     
    キリスト教はまだ表に出にくく,かなり多くが「隠れキリシタン」となっているらしい。VHPによると,6千万人以上らしい。これもたいへんな数字だ。
     
    では,この流れにどう対処するか? RSS(民族奉仕団)やVHP(世界ヒンドゥー協会)が反撃に出てコミュナル紛争が激化するおそれがある。ネパールにとっても,他人事ではない。難しい問題だ。